花のお庭

今CMでの五嶋さんの姿は　ここ数作の中でも凛々しさ度数は高い目

それだけに　そういう出来上がりの映像によって思い出す情けなさは半端じゃなく　
たかだか1年3ヶ月しか経っていないことについて　
あれだけ憤っていたくせに　半ば以上忘れていたことに我ながらウンザリした
昨年末　とある北の町を目指して高速電車に乗車した際
住宅密集地を過ぎてから　
田圃のなかに唐突に数多の鉄塔が林立して　それを繋ぐように
送電線があちこちに　
それこそ蜘蛛の巣のように張り巡らされていることに驚いたのだけど
あの電力の行き着く先は　多分にわたし達の住む場所を目指している
そのなかの何パーセントかが　わたしの住む街の電車を動かしている
説明できない感情が突き上げてきたのをはっきり憶えている

さらに関連する新聞記事を繰っていたところ
はぁ?な出来事もあったりで
夏前の大事な時期の前に　なんとか電力確保をと奔走した姿と
それが裏目に出た瞬間を垣間見たようで
でもって
自分の日常が　ますますそのことと分かちがたく関係している事実を思い知らされた

今CMのテーマ　『自然と地域と、共生できる鉄道へ。』って謳ってるんだけれど
地域との約束をきっちり履行したんだなぁ　ってことがわかる
大人たちは大人の約束を粛々と果たした　
ただそれだけのこと　
寧ろ企業の在り方としては当たり前のことかもしれない　　

なのだが　なんというか　一連の流れを追っていくと
勝手に理想を押し付けた男性に
これまた勝手に失恋した気分になってくる
　
企業の在る第一目的は　
無償で人に尽くすことでは決してない
わたしの滞りない日常生活が成り立ってるのも　そことそれあってのこと
それは頭のなかでは　そこそこには分かっているのに　　　

今CMの 好い出来映え　
表情の出方・流れ方が自然な感じで清々しい
そこに
発電所のある地域の伝統的な自然の風景と
発電所の設備の映像が　さり気なく挟み込まれている　
　　
微妙な年頃の人間って
その変化の在りよう自体が儚げで危くて美しい　
それだけに　業が深いCMであるように思えてしまう
人に一生に1回　あるかないかの貴重なその移りゆくさまに　
この一件を重ねちゃったのだから

そして　そのことに勘付いていながらも抗いきれず
実生活においても　
知らず知らずであれ　見知らぬ誰かの生活基盤に乗っかって
ほうほうの態で平穏で滞りない日常を積み上げて生きているわたしも
業が深い