2011年11月11日

まほろばの里に咲く花たち

ベランダで一輪 花が咲いてくれた

今年中 花にまつわる楽しみを諦めることにした矢先
ぽ っと咲いてくれた
いつの間に こんなに育っていたんだろう

元気出さなきゃダメダメ
そういわれたみたい


だよね だよね〜 と長らくの凹んだ気持ちが
むくむく 少しずつなおりかけた矢先
まほろばのまちに出掛ける日がきた


曇り空に 時々しっとりした雨ふり

単線のディーゼルカーの車内はホッカホカで
自分が スチーマーで蒸かされてる餡まんになったみたいな
妙な錯覚にはまりこむ


ホカホカ餡まんが とある駅で降りると
そこは 駅というのは名ばかりの
いまだかつて降りたことのない場所だった
周りに人家が全くない

降りて10分 呆気にとられ
その間に コートのなかのホカホカは すっかり消えてしまった


泣きそうになりながら タクシー会社を探して
迎えにきてもらう段取りを整えて
ホームにある小さな待合室で縮こまっていた


40分ほどして タクシーが着いた

目的地までは そこから更に3〜40分


宿泊所について荷物を預け 気晴らしを兼ねて
地域に唯一あるというショッピングセンターに出掛けた

雨は さっきより少し強く降り
気分はどんどん落っこちていく

宿泊所の受付の人が全くあてにならなくて
困りあぐねて 歩いて数分の交番に助けを求めた

地図のコピーと的確な助言を頂いて 安心して目的地に向かった

雨はどんどん強くなる一方で

行き交う人もない道を不安げに歩いていたら
道端に ヤグルマギクが咲いていた
わざわざ植えたのではなく
どこからか種が飛んできて育ったみたいだ
まばらに 凛として咲いていた

冴々した青い色は
どんより曇った空と自分の気持ちを救ってくれるに充分だった


翌日 親切なかたに
前日降りた駅とは違う最寄りの駅に送って頂くことになった


ひたすら走る車中から 道端にポチポチと 黄色い色が見えた
まちの至るところに菜種の花が咲いている

まほろばのまちに彩りを添える菜種の花は
このへん一帯の産物でもある蜂蜜の源でもある


このへんの家々の軒先では 菜種の他にも
慎ましやかに花を植えて育てている


もともと 牧畜と漁業と田んぼ仕事で 日々の糧を得ていた場所

まほろば の言葉の意味に似つかわしい場所だった

しかし 指折りの雪深いまちでもあり
冬の出稼ぎは不可欠だったとも聞く

変化して止まない国策と世界の情勢と
諸々の思惑に揺れている今でも
大根を干し 花を育てて
そこで生きている


強くなくては生きていけない人たちが
心を癒すように育てている花々は 慎ましくて優しげだけど凛としている

住む人には 
余所者にはいいたくもないしいい尽くせない想いがあるだろうし

一方向からの意見をぶつけるだけでは 彼らの心を硬くしてしまうのではないかな…

帰京する途中 
ごろごろ寝返りを打ちながら
出会った人の表情を思い出しながら物思いに耽っていた

悩ましい事態に揺れながらも
そこは もともと まほろばの里だった
と 道端に咲く花たちが教えてくれた

太公望のメッカでもある豊かな自然に恵まれた場所

実際に出掛けてみて 困惑しながらも 
類い稀なる自然の風景の美しさに驚いた


機会をつくって
何とかまた 行ってみたい


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Posted by タフタ at 05:34 │ぽつぽつ